手描き絵師 秦義則
会社経営の傍ら、ライフワークである絵画を描き続けていた際、独学で水墨画や山水画をイメージした作品を数多く手掛ける。その後、和柄に魅了され自身の会社で開発したジーンズに手描きで和柄を施すという現在のスタイルに至る。女性に対する「美しくあって欲しい」というその思いは、強く、そして優しい。
Q,秦さんの簡単なプロフィールを教えてください。
若い頃から絵を描くのが大好きでした。絵の世界で生きて行きたいなと思っていたのですが、残念ながら美大受験を失敗してしまったんです。その後、アパレル会社経営の道を歩んだのですが、絵画の世界から離れることができず、経営の傍ら、油絵・パステル画・水彩画などの作品を手がけてまいりました。その中で、繊細で奥深い和柄に出会い、魅了され、 和柄を手がけて何かしてみたいという思いが生まれていました。
同時に会社経営の方では、自分自身がジーンズの愛好者であった事と、綿100%でストレッチ性のあるデニム生地に出会えたことで、女性にジーンズを綺麗に履いていただこうという思いが強くなっていました。 何故かというと、海外から来られるお客様とお話しすると、日本女性に対する憧れを抱かれている方が多いのですが、来日してみると自国の女性と余り変らない・・・またはそれよりもひどいという感想を持たれるからなのです。
どういうことかと申しますと、さすがに日本女性が常に着物を着ているとは思っていないものの、背中や腰が大きく開くようなジーンズを履いたり、わざとずらして履いている姿に、だらしないと幻滅されるようです。欧米のファッションのモノマネでなく、清楚な日本女性像を求められているようです。
そういう意味で、きちんと履いていただけるジーンズを製作したくて、それが
kirnen 、クイーンペティという美脚・美尻ジーンズの誕生となりました。 また、この生地自体が化学繊維を使用していないことから、ペイントの顔料が繊維にうまく絡みつくことも発見しました。
私自身の和柄への羨望と綺麗に履いていただくことへの拘りが繋がり、キャンパス地と同じ感覚でデニム生地のジーンズに和柄を描くようになりました。
Q,秦さんの描かれる和柄を拝見しますと、かなり熟練された技術だと感じるのですが、いつ頃から和柄をお描きになっているのですか?
絵自体は十代のころから描いていますが、和柄というか、水墨画や山水画をイメージした絵を描くようになったのは10年ほど前からのことです。油絵から始まり、水彩画、日本画、アクリル画、パステル画など様々な画材を使用し、それなりの絵を描いてきたように思います。
描く対象物は風景だけではなく、阿修羅のような仏画、龍や鳳凰なども描いてきましたが、私自身がデザインしたクイーンペティを作成してからは、とにかく、「キレイ」をコンセプトに描くようになりました。
Q,和柄を描くときには、なにか見本のようなものがあるのでしょうか?
森羅万象全てが見本になるのですが、写真も好きなので、見かけた花や風景を撮影し、見本にすることも多いです。しかし、何よりのお手本は先達の残された多くの作品です。神社仏閣に残されている襖絵や天井画または、掛け軸などは最高の手本になります。
実際に描くときは、そのまま真似るのではなく、自分の頭の中で構成しなおして描くというやり方をしていますし、また、自分自身が独自に作ってゆくことも多いですね。とにかく、よい作品に出会って、目を肥えさせることが大切だと思っています。
Q,例えば、見本となる絵なり写真をお渡しすればそれを基に描いてもらうこともできますか?
もちろんお描きしますよ。ただ、版権の問題が生じるものは避けたいと思います。それにコンセプトが和柄ですので、和柄限定でお願いしたいと思っております。渡された写真がジーンズに描かれるとこのようになるんだという驚きを体感していただきたいと思います。
Q,ご購入いただくお客様に伝えたい「想い」を是非、お聞かせください。
手描きだからこそ表現できる世界を追求し、私の作品がお客様に喜んで着ていただけることを願い丁寧にペイントさせていただきます。着物柄や神仏、神獣など日本固有の和柄をアレンジし、一本一本丁寧に手描きしております。
弊社が採用しているデニム生地の特性を活かしながら世界に一つだけのオリジナル和柄ジーンズを作成いたします。使用している布専用絵の具は、アクリル絵の具に比べて、柔らかく仕上がります。ペイント後、熱処理しておりますの で、ほとんど色落ちもいたしません。安心してご愛用ください。
着ていただいて初めて作品が完成いたします。お客様の感性と私の作品が一体となって醸し出すあなた自身の個性作りを お手伝いいしたいと考えております。 お客様の手にとっていただいた瞬間の声にならない感動を期待し、納得のいく作品をご提供していきたいと思っています。
Q,最後に今後の秦さんの夢というか目指すものを教えていただけますでしょうか。
和のテイストが失われつつある昨今ですが、多くの日本女性に和柄の良さと文化を再発見していただき、身に付けていただける機会が少しでも増えればと思っています。 私自身ができることといったら、一枚一枚丁寧に描くことだけですが、それによって、日本文化の継承に少しでも役に立つのであれば幸いです。 これからも、一人でも私の作品を気に入っていただける方がいる限り、描き続けたいと思っております。